某月某日某曜日 はれ

日は高見の見物をしようと、荒川車庫前にやって来ました。この間お花茶屋で考 えた素敵な乗物、それに一番近いのが、この路面電車だと思うんですよ。高い所から、 ゆっくり移っていく町の景色を眺めるのは楽しいですもん。思わず後ろ向きに座りたくなっちゃいますよね。
 


その20
『荒川車庫前』
2001.02.08up
今までの旅日記
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 路面電車の魅力って何なのでしょう? 家々の軒下を縫うように、たった一両でトコトコと走ってる姿。時々一般道に出ると、こっちまで「自動車のみなさん、すいませんねぇ、お邪魔します」って言いたくなる、どこか奥床しい乗物なんです。ポワーンてな感じのクラクションも、自動車と違って控え目でしょ。でもこのスピードが、 町を眺めるには最適。うっかりすると自転車にまで抜かれそうなこともあるけど、その分じっくり見物が出来ます。それに、ちょっと見下ろせるこの高さも魅力ですよね。 あぁ、ここに銭湯があったんだぁ、へぇー、今度このお菓子屋さんに来てみよう・・・ 乗る度に小さな発見があります。もし暇だったら、えーい、降りちゃえ!ってことも しばしば。停留所のひとつやふたつ、歩いたってわけないですもの。
 運転手さんがすぐ側にいるのも嬉しいな。普通の電車みたいにガラス越しじゃなくて、もう手が届くところに運転台がある。左右のレバーを巧みに操って町中を行く姿は、つい見とれてしまいます。でね、気のせいかも知れないけど、みーんな路面電車 が好きで好きで堪らないように見えるんですよ。
 ですからこの車庫で出番を待っている車両も、早く町に出たいなぁって思ってるに違いありません。みんなに愛されているってことは、きっと分かっているでしょうから。ん?運転手さんがカバンを持って近づいてきたぞ。このまま一緒に出発して、さてこれから何処へ旅に出ようかなぁ・・・