某月某日某曜日 くもり

日はロマンチックに並木道でも歩こうと、神宮外苑にやってきました。毎日ちまちました町でこそこそ暮らしていると、たまにこんな優雅な道を歩きたい衝動に駆ら れることがあります。よそ見をしてもすれ違う人にぶつからない、ちょこちょこ信号で立ち止まらない、目障りな看板も建物も少ない、そんな贅沢な散歩をしたくなるんですよ。
 


高野ひろし
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その39
『神宮外苑』

2002.06.10up

今までの旅日記
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  真っ直ぐな広い道。今はまだ白い息の目立つ季節ですから、銀杏の葉の緑を楽しむ ことは出来ません。まぁどちらかというと、銀杏の場合、葉っぱは黄色くなってからの方が風情がありますか。その後のあの臭いには困るけど、地面が見えなくなるほど敷き詰められた黄色い葉っぱを踏みながら歩く気分は、喩えようもないくらいにステキですよね。
  葉で覆われている時には、みんなが眺めカメラを向ける並木も、この時期は寂しそう。歩く人達も何だか足早で、仕方なく歩いているっていう感じすらします。葉っぱがない分だけ障害物もないわけで、枝の隙間から、もろに北風が押し寄せて、引き返 そうかなぁという誘惑に駆られたりもします。   ですけど、葉が落ちて幹と枝ばかりになると、その木本来の姿が見えてくるんです。 葉が繁っている時は大きさくらいしか分からないけど、裸になるとね、一見同じような木々にも個性があるんだなぁと思います。枝振りやその長さ太さ、幹の表面のごつごつだって違います。下の方からひょっこり顔を出しているオマケみたいな枝は、植木屋さんに切り取られちゃうんでしょうかねぇ。
 そんなことを考えながらの並木道の独り占め、贅沢気分が一層膨らんでいきます。でも、やっぱりちょっと寒いや。どこかでちょっと暖かいものでも飲んで、さて、こ れから何処へ旅に出ようかな・・・