某月某日某曜日  くもり

日は素敵なアパートを見ようと、中野にやってきました。友達が「早く見ないと なくなっちゃいそうなアパートがある」って教えてくれたんですよ。移り変わりの激 しい東京ですもん、昨日あったものが今日なくなったって、ちっとも不思議じゃありません。
 

その42
『中野』
2002.10.27up
今までの旅日記
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  サキガケ荘っていうアパートでした。2階建てなんだけど、そんな背の低い建物には見えない立派な入り口。すぐ左側には、まるで映画館みたいに窓口があって、きっと恐い顔の管理人さんがいたんだろうなぁ。正面の2階部分には、アーチ型のバルコニーがあって、何とも優雅な顔付きです。門柱は屋根まで伸びていて、屋根周りにもレトロな装飾が施されていました。そして「さきがけ荘」でも「魁荘」でもなくて、「サキガケ荘」ってのが心惹かれるではありませんか。カタカナなんだけど、書体がひらがなっぽいでしょ?縦書きの方が似合いそうですもん。
  中野は駅前の大アーケード街の賑わいと、その裏の大飲食店街の賑わいが、昼夜で交代制になっている町です。勿論ブロードウェイは夜も人通りが多いですけど、やっぱり夜の主役は裏通りでしょう。飲み屋さんとラーメン屋さんが一軒おきにあるといっても過言ではありません。さらに細い路地を入ると、通るのも恐そうな飲屋街が、顔を覗かせます。
  その裏通りにひっそり建っているサキガケ荘。お察しの通り、もうここには誰も住んでいません。きっと随分前から空き家状態だったんでしょうね。建築許可の看板も張り付いていましたから、次に訪れた時にはもう消えているんじゃないかなぁ。中を見学したい気持ちをグッと押さえて、さて、これから何処へ旅に出ようかな・・・