某月某日某曜日 はれ

日は夜の橋を渡ってみようと、臨海副都心にやって来ました。若者のお財布の紐を緩めようとする建物が徐々に増えてきたこの辺りですけど、まだまだ空き地がいっぱい。その広いというより荒れ果てた風景を見るのは悲しい。だったら全てを隠してくれる夜の方が、少しは気分が和らぐというものです。
 


その18
『臨海副都心』
2000.12.19up
今までの旅日記
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  ついついみんなが浮かれちゃったあの頃、一日中トラックと巨大なクレーンと、大勢の工事の人達で溢れ返っていたあの頃。立入禁止の柵を乗り越えて、ススキを取り に行ったり、釣りをするオジサンをぼんやり眺めたりしていましたよ。直線コースを爆走するバイクや改造車と、それを監視するパトカー。雑草が生い茂る埋め立て地を徘徊する野良犬が、時々野性のキツネみたいに見えました。
  浮かれたひとときが泡と消え、まばらに建ち始めた不思議なビル。誰もいないのに動いているエレベーターと、一晩中BGMが流れる公衆トイレ。そこは東京で一番不気味な空間だったんです。
  次第に人が集まり出しましたけど、だ〜れもいない所だって、まだまだ沢山あります。ここは夢の大橋っていうんですけど、ホント、夢の中みたいなんです。鮮やかな照明を浴びている何の役にも立たない、ただむやみに大きくて立派な橋。橋の大好きな人でも、ここばかりは首を傾げるでしょうかねぇ。でも時々自分が何処にいるんだか分からなくなりますよぉ。東京かどうかも日本かどうかも分からなくなる。あの向 こうには、UFOの基地があるんじゃないか? そんな異次元の感情が湧いてくる橋で す。
  もったいないなと思う反面、ここは今、僕のものなんだって思える瞬間、とっても贅沢な時間が過ごせちゃいます。おっと、若者の一団がやって来たぞ。さてこれから、 何処へ旅に出ようかなぁ・・・