第一回 「ケープタウンへ」

  9月19日、思い立って旅行代理店へ電話。 「ヨハネスブルグまで、一番早く取れる便で!」 手っ取り早く言うと、"現実逃避"という表現が最も当たっているのだが、とにかく日本から遠いところへ行きたかった……。
 と、いう実に低い志のもと、9月22日から10月6日まで、南アフリカを旅してきたのでありました。ヨハネスブルグからダーバン、エショウエとまわり、最後の訪問地がケープタウン。南アフリカは日本の3倍の国土に日本の1/3の人口を持つ国で、動植物に関しては、最も多くの種が生息しているとのこと。

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 ダーバンからケープタウンまでは、長距離バスに乗ったのですが、午前11時発のバスが到着するのは翌日の午前9時。途中休憩などはあるものの、実に22時間バスの中。私の隣にはケープタウンに住んでいる女の子。私が観光客だというので、熱心にケープの見所を勧めてくれる。テーブルマウンテンでワインランドにケープポイントに……と。私はペンギンに会いたいの、SANCCOBにも行きたいの、と半分相談の気持ちも込めて話してみる。 「あー、SANCCOB、私もペンギンを洗いに行った」(勿論、英語です)

 SANCCOBのボランティアは、ケープでは身近なものなのかと思う。後に、市内でもペンギン洗いに行ったという人に会ったし。彼女の話を聞く限りでは、ボランティアは楽しそう。ますます、期待が膨らむ。

  ケープに到着。観光案内所で、とにかくペンギンを見に行きたいというと、二つ返事で紹介されたのが、ボルダーズビーチゲストハウス。と、その時発見。カウンターの上に募金箱。イラストはペンギン。SANCCOBの文字。やはり、ケープでは身近な存在なのか?
 タクシーで一路ボルダーズへ向かう。途中、クジラなど見ながら、市内から約30分。ボルダーズビーチゲストハウスは、クリーム色の壁、ブルーの屋根、カフェのデッキに紺色のパラソルのペンション風。チェックイン後、早速ビーチを散策。

 ペンギンと会えるのは、入場料を払って入る保護区内と、その近辺。海辺は岩場と砂浜と松林が隣接している。とりあえず岩場を歩いてみる。早速、ペンギンと遭遇。茂みの中から顔を出している。近づくと、隠れるが遠くに逃げるわけではない。しかし、待っていたからといって近寄って来てくれるわけでもない。入場料を払って保護区内を
歩く。低い金網の向こうに、ペンギンさん。海外にいると独り言が増えるが(喋る相手がいないのと、何を言っても日本語なら回りの人には分からないだろうという気持ちからか)、ここではペンギンに話しかけてしまう私。

「まー、こんにちは」
「こっち向いてよ、こっち」
「ねー、お話しましょ」

  ふと正気に戻り、あっ恥ずかしいぜ……などど思ったものの、話しかけていたのは私だけではなかった。
 これが午後3時ごろの話。この感動なんて、まだまだ序の口だと、後日知る事になったのでした。

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