4:NY水族館では主役級の活躍


「水族館へ行くのは日曜日にしよう」
出発前から、わたしはそう決めていた。
 

ちゃんと理由はあった。
今回の出張には、一応市場調査という目的があるのだが、日曜日には閉まっている店が多いので、市場調査には不向きな曜日であること。仕事以外の時間をとるのは日曜日がベストだった。
それと、NY水族館の立地が、もうひとつの理由である。
水族館は、マンハッタンから地下鉄で1時間くらいかかるコニーアイランドにある。そこは夏だけ人々が集まるビーチリゾートなのだ。冬の訪問者は、まばらであることが容易に想像できる。だから、せめて多少人出がありそうな日曜日を選んだ。水族館の、寂しい姿を見るのも嫌だったのだ。

 日曜日の朝、マンハッタンの空は厚い雲で被われていた。今にも雨粒が落ちてきそうだ。近くのスーパーで、傘を買ってから地下鉄に乗り込んだ。

 水族館の外観からは、あまり大規模な施設は想像できなかった。
チケット窓口の女性も、NYのファーストフードの店員と同じくらい、愛想が悪い。我慢しよう。ペンギンはすぐそこだ。ゲートをくぐった。
次の瞬間、僕は思わず声を上げてしまった。
「おおおおお」
そこには、クリスマスのそりをひくペンギンのフィギュアが。
この事実は、この水族館におけるペンギンの高い地位を物語っているのではないか?高まる期待。
通路は、この水族館のシンボル、ベルーガ(スナメリ)の水槽、そしてイルカプールを経て、屋外へ。ゲートでもらったマップによるとペンギンは、アウトドアにいるらしい。
 アザラシやラッコといった海獣が集められたプールの一角に、ブラックフット、すなわちケープペンギン達はいた。まず最初に挨拶にいった時には、3匹しか姿を見せていなかった。数匹のためにしてはずいぶん立派な施設だなあと思った。巨大という程ではないが、15メートル四方位の大きさに自然を模した岩場が作られている。人工的に作ったにしてはかなりリアルに自然を再現している。寒さのせいか、ペンギンの動きは少ない。
また、海獣プールの裏側に入口があり、そこから水槽の中を覗くことができるようになっている。
 1時間程後に給餌の時間があることは分かっていたので、帰りがけにおとづれることにして、他の館内を回ることにした。
NY水族館は、決して大規模な水族館ではないのだが、動物の見せ方とか、動物の解説などいわゆるプレゼンテーションに手を抜いていないのがいいな、と思った。特に解説に関しては、グラフィックを多用するなど、NYらしさも出ていた。
日曜日であるにもかかわらず、冬の水族館は、限り無く寂しい。海鳥の鳴き声が寂しさに一層拍車をかけている。
天候は、あいかわらず小雨まじりの曇り空。よりによってASA100のフイルムしか持っていなかった。暗くて通常のシャッタースピードでは撮れないくらいだ。
 館内は、ゆっくり回っても、1時間から1時間半あれば、全部まわれてしまう位の広さ。ギフトショップへも行ったが、最近の日本の水族館に比べると、アイテムは少ない。一応購入すべきものは購入した。
(写真は、うつぶせで寝るケープペンギンのぬいぐるみ)
 給餌の時間になったので再びペンギンプールの前へ行くと、またびっくり。全部で40羽くらいはいたと思う。
結局彼らは、寒いので穴の中に隠っていたのではないだろうか?


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