4.プンタトンボより

 プンタトンボはトレレウの南、約120キロに位置します。街を出るとすぐに地平線まで灌木と草原が続く風景の中に出ます。この国では、街中以外では道路がカーブを描くことはほとんどありません。地平線まで続く車窓風景も、アルゼンチンを旅していると当り前のことになってしまいます。

 バスで約1時間30分、やがて、赤い屋根の管理事務所の前に到着します。一応レストランやみやげ物屋が併設されていますが、両方とも大したものはありませんでした。 ゲートのところで「触らないでください」というような内容の説明を受けて中に入ります。いきなりそこらじゅうに小さな燕尾服の紳士達、マゼランペンギンがまるで箸置きのような格好でころがっています。足元をよくみると、ちょうどペンギンが入るのにちょうどよい穴が無数にありました。これが彼等の巣なのです。
 見学ルートは一応決められていて、ロープが簡単に張られているのですが、ペンギンのほうがそんなことに構わずに人間の前を横切っていきます。本当に注意しながら歩かないと、ペンギンや巣を蹴飛ばしてしまいそうです。
(右図は現地のパンフレット)

 ペンギンハンドブック(ポーリン・ライリー著 青柳昌宏訳)によると、マゼランのコロニーは「大陸の海岸、島々の草地や林、断崖の階段状になった地層の上、土手、砂丘になどに作られる」とされていますが、まさにここは断崖です。断崖ということは、その先端までいかないと、海岸線の状況がわかりません。
 先端まで歩き、足元の視界が広がったとき私は息を飲みました。視界にはいる海岸線いっぱいに、ペンギンが群れているではないですか。おそらく数万羽いるでしょう。と
にかくペンギン好きには至福の瞬間です。
 ところで、前にも書きましたが、私がペンギンのことを勉強し始めたのはこの時以降なので、当時はほとんど予備知識なしでした。ペンギンがほとんどの場合寝ていることや、普通の動物と違って雛よりも成鳥のほうがかわいらしいという事実をこのとき初めて知りました。現地では2時間ほど時間があるのですが、あっという間にすぎてしまいます。ペンギンをじっくりと観察したいというひとは、やはりタクシーを1日チャーターしたほうが良いかもしれませんね。

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