某月某日某曜日 はれ

日はひとり静かに電話でもしようと、芝浦に行って来ました。周りはオフィスビルや倉庫ばっかりで、休日の昼下がりともなれば、人が通る気配もありませんからね。 別に秘密の相談をする訳じゃないけど、人が一杯いると落ち着かないじゃありませんか?
 


その7「芝浦
2000.06.23up
今までの旅日記
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  僕は携帯電話っていうのが苦手なんですよ。そうじゃなくても電話って、無断で相手の世界に踏み込む機械でしょ? 人の都合も状況も何のその、どけどけぇ〜って感 じがしますもの。手紙だったら気に入らなきゃ捨てちゃえば良いですが、電話はブチっ て切るのも切られるのも、とっても気持ち悪いです。それをパワーアップしたのが携帯電話ですから、気が小さい者には扱えませんよ。
 でもね、そうはいうものの、電話は嫌いじゃありません。興が乗るとズンズン長話しちゃいます、ヘヘヘヘ。ですから、後ろに人が並ぶこともなく、通りすがりにバカ話を立ち聞きされる気遣いもない所、それが貴重なんです。   その点、ここは文句無し! その昔、この辺りは芝浦の花柳界だったんですって。 港も近くて、潮の香りと三味の音がブレンドされた、粋な遊びが出来たことでしょう。 この大きな木造の建物は、花街の見番だったんですよ。その後花柳界は無くなっちゃって、港で働く人達のための宿として余生を送ったんです。いつもいつも、今年は取り壊される、来年は無くなるって言われ続けた建物です。その姿は古めかしいけど、町と人の移り変わりの証言者を一手に引き受けてくれています。
 ホントはね、ここで受話器を取ると、このおじいさん建物と話せるんじゃないかって思うことがありますよ。何十年も人や町の移り変わりを見聞きしてきたんですから、 きっと長電話になりますよぉ。さて、これから何処へ旅に出ようかな・・・