某月某日某曜日 くもり

日は東京タワーでも眺めようと、虎ノ門にやって来ました。この鉄塔は、どこから見てもそれなりの味わいがありますよね。足元に立って思いっ切り見上げても、遠くの方からちょこっと窺っても、何故か心動きます。
 

その53
『虎ノ門』
2003.11.03up
今までの旅日記
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  まぁ何処にでもありそうな電波塔といえばそれまでなんですが、妙に懐かしく思えるわけですよ。町を歩いていてその姿が見えると、つい「やったぁ」という気分になるんです。もしかしたら電車や飛行機から見える富士山よりも、個人的には嬉しいかもしれないなぁ。ですから、近頃の高層ビルラッシュは、東京タワーの邪魔をしているという点で、どうにも気に入りません。東京の空に突き出す建造物は、東京タワーに遠慮をして欲しい。張り合おうなんて恐れ多いことを考えること自体が、間違っているのです。
  放送博物館のある愛宕山のトンネルをくぐると、お寺や木造家屋が静かに佇む一角があります。外観は年季の入りまくった板塀、片手です〜っと開きそうもない格子戸の玄関、それが棟割長屋のようになっていたら最高でしょ? ところが残念ながら、どうやら立ち退きがどんどん進行しているようなのです。こりゃ良いと思う家の殆どが空き家。人の気配が感じられない建物や、既に更地になってしまったエリアが、ここを訪れる度に増えています。
  辛うじて残っている路地の奥から、東京タワーが見えます。もう表札すらなくなった家ばかりですが、その先に我らが鉄塔がすっくと立っている風景は、嬉しくもあり悲しくもあります。そう遠くない将来、ここからタワーは見えなくなるでしょう。そしてそんな昭和の風景を知る由もない人々が移り住むのでしょうね。ちょっとブルーな気分になってきたけど、さて、これから何処へ旅にでようかな・・・