某月某日某曜日 はれ

日は日本の古典的大宴会を見学しようと、本郷にやって来ました。ぶち抜きの大広間に朱塗りのお膳、それも二の膳付き。正面は床の間で両脇は雪見障子。場所は木造の日本旅館とくれば、非の打ち所もありませんよねぇ。
 


高野ひろし
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その37
『本郷』

2001.12.11up

今までの旅日記
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 こんな宴会、めっきり少なくなりました。先ず座敷がないし、それに靴を脱いで座ることを敬遠しがちです。どうしても靴を脱ぐなら、せめて掘り炬燵式にして欲しいって思いますもん。それに座敷=無礼講=どんちゃん騒ぎ=喧嘩含み・・・と、嫌な公式が頭を横切ります。だいたい、大勢で大宴会自体が激減しましたんだと思います。 そういう場所には、なるべく行かないように心掛けますから。
 ですから逆に物珍しさが先に立って出席したくなっちゃったんですよ。集まるのも 職場外の仲間だし、お祝いの席だから大丈夫と踏みました。でも何年振りだろう、こんな宴会は? 上下関係のない仲間が騒いでいるうちに、段々と修学旅行みたいな乗 りになってくるみたい。座敷を駆け回り、あちこちでばか話に花が咲き、写真を撮ったり撮られたり。この空間は、徐々に暖かくなり濃密になっていきます。あれほど嫌がっていた座敷宴会なのに、「たまには捨てたもんじゃないなぁ」とまで思い始めます。
 ここは東大のそば、かつては修学旅行の宿がひしめいていたんですが、近頃は宿も旅館からホテルに変わって、こんな日本旅館も徐々に姿を消しています。でもまだ木造家屋や下宿屋が残っている場所で、樋口一葉が住んだ長屋の一角も健在です。そん な風情を味わいながら訪れると、お決まりの宴会料理も、どこか懐かしくそそられる食事に見えてくるから不思議です。さてと、宴がお開きになったらお風呂にでも入って、これから何処へ旅に出ようかなぁ・・・